夏色の恋【完】
「だから、好きとかじゃなくて…。あ、夏のアバンチュールみたいな感じ?ちょっと違うか……」

「………」

「なんか北斗が付き合ってほしいって言うし…。まあ…、少しの間だからいいかなって……」


黙って聞く麻衣に、私は笑いながら喋り続けた。



北斗の言うことに付き合ってあげてる、みたいな口ぶりでそう言ったけど、本当は違う……。


本当は自分の気持ちに気づいてる。


花火大会の夜、北斗が『好きだから気になる』と言ってくれた言葉を聞いて、私は泣いた。



私は北斗が好きなんだ。


だからあの時、嬉しくて涙が出た。


北斗の純粋な気持ちが私の心を揺らす。


そして私を変えていく。


でも、それが怖くて私は笑う。


麻衣に、北斗が好きだという想いを気づかれるのが怖いんじゃない。


もっと北斗のことを好きになってしまうかもしれない、自分が怖い。


もう昔みたいな想いはしたくない。
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