夏色の恋【完】
初めて会った時、


『楽しいの?』


と私に言ったあの言葉とあの瞳。


何故かずっと気になっていた。


今思えばあの言葉は、私を通して母親を見ていたのかもしれないけれど、気になって仕方なかった。


『付き合おう』


と北斗が言い出した時、


『1ヶ月だけね』


と言ったのは、もしかしたら北斗を好きになってしまうかもしれないと、予感していたのかもしれない。



「まぁ、好きか嫌いかって言われたら好きだけど…、本気にはならない……。きっと北斗もそうだよ」


麻衣に言いながら、自分に言い聞かせた。



私は予防線を張った。


傷つかないよう、自分自身を守る為に……。


そんな私に麻衣は何も言わなかった。


少し切なそうな顔をしたけどすぐに、


「飲みましょうか」


と笑顔になって、1階にお酒を取りに行った。
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