夏色の恋【完】
私はワインを飲んで、麻衣はビールを飲んで、知らない間に2人共眠ってしまっていた。



夜中に喉が乾いて目が覚めて、麻衣を起こさないように部屋を出た。


そして階段をそっと下りていくと、リビングに灯りがついているのがわかった。


廊下を歩いていると、


「里緒菜さんって…」


リビングのドアの向こうから海くんの声がして、私は思わず足を止めた。


「ホントにお前のこと好きなの?」

「さぁ…。わかんねぇ」


北斗の声も聞こえて、いけないと思いつつ、私はその場で2人の話を聞いていた。


「彼氏いるって言ってたけど、別れたの?」

「いや…。別れてねぇ…」

「それって二股じゃん?」

「かもな…。まぁ、大人の事情ってヤツだよ」

「はぁ!?意味わかんねぇ。それでいいわけ?」

「オレにもわかんねぇ……」



北斗は少し笑っているようだった。



そこまで聞いて、もう麻衣の部屋に戻ろうと体の向きを変えた。


「アイツの思ってることも、考えてることもわかんねぇ。オレには理解できねぇ…」



最後に聞こえたのは、北斗のそんな言葉だった。
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