夏色の恋【完】
心が痛かった……。


立ち聞きなんて、やっぱりやめておけばよかった、と後悔した。


北斗が『理解できねぇ』と言った言葉が、頭の中で回っていた。



泣きそうになったけど、涙は出なかった。


心のどこかで、諦めていたからかもしれない。



長谷川さんと別れることもできない中途半端な私。


こんな私に北斗が本気になるはずなんてない。


そんなことわかっていた。


でも北斗の、私をぎこちなく抱きしめたあの手と『好きだから気になるんだろ』と、言った言葉を信じたかった。


ううん……。


信じていた。


だから心が痛いんだ……。
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