夏色の恋【完】
「なによ…。意味わかんないって……」

「さぁ?」


曖昧に答える北斗に、


「言ってくれなきゃわかんないじゃん!」


私は勢いよく言った。


ちょうどその時、頼んだ料理が運ばれてきて、北斗は私の言葉を無視するかのように食べ始めた。


「食えば?」


笑いながら言う北斗に少し腹が立って、


「ワンピース、好きなんだもん…」


小さく呟いた。


「は?服のことなんて言ってねぇし」

「じゃあ何よ…」

「いいから食えよ、ハンバーグ」


そう言ってまた笑うので、


「ハンバーグ、好きなんだもん!あと、ブロッコリーが好きだし…。お酒はワインが好きで、ビールは飲めない!」


大きな声で北斗に言った。


「髪の毛、ホントは茶色にしてあんたみたいなフワフワしたパーマかけてみたいし、それから……」


言いながら、自分でも何を言ってんだろう…、と思った。


北斗は驚いた顔をして黙って聞いていたけど、


「は?何言ってんの?てか、声でけぇし……」


言葉に詰まった私に、呆れたように口を開いた。
< 105 / 134 >

この作品をシェア

pagetop