夏色の恋【完】
次の日、私は長谷川さんに別れを告げた。



突然のことに彼は驚いていたけれど、


『それで里緒菜が幸せになれるなら…』


と優しい笑顔で言ってくれた。



長谷川さんも気づいていたんだろう。


どこか遠慮していた私に……。



彼は私が『大丈夫』って言うたびに本当は辛かった、と打ち明けてくれた。


私がそう言うたびに、長谷川さんも気を遣ってたらしい。



『大事にしたり、優しくすることで里緒菜に愛情を伝えていたつもりだったけど、間違っていたのかもな…』


最後に長谷川さんはそう言って寂しそうに笑った。
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