夏色の恋【完】
「はぁ!?なんでって、オレの部屋なんだけど」


北斗から目を移し部屋を見回すと、確かに麻衣の部屋ではなかった。


「マジで痛ぇ…」


北斗は痛そうに額を押さえているけど、私は何がどうなっているのか、痛みも忘れるくらいパニックになっていた。


麻衣の部屋でワインを飲んで、トイレに行って…。


それから……。



一生懸命冷静になって考えてみたけれど、そこからの記憶が全くなかった。



「麻衣ちゃんの部屋、あっちだけど」


そんな私に、北斗が不機嫌そうに「あっち」と指を差す。


「え?」

「だから…、麻衣ちゃんの部屋ここの隣」


呆れたような顔をする北斗。


「そう…なんだ……」

「てか、酒くせぇ」


北斗の言ってることがようやく理解できた。


ここは北斗の部屋で、隣が麻衣の部屋。


私は酔っていて、部屋を間違えたようだった。
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