夏色の恋【完】
私達は1階に降りて、それぞれシャワーを浴びた。


私が洗面所から出てリビングに行くと、麻衣が台所に立っていた。



「麻衣、料理できるの?」

「できますよ。ウチには子供みたいなのがいるんで……」


慣れた手付きで料理する麻衣が、振り返って微笑む。


19歳の麻衣には失礼かもしれないけど、お母さんがいたらこんな感じなのかもしれないな…、なんて思った。


私には両親の記憶がないから、想像でしかないけれど……。



そんな麻衣の後ろ姿を眺めていると階段を降りてくる足音がして、リビングのドアが開いた。


「姉ちゃん、腹へったー!」


海くんだった。


「今作ってるから待って!」

「早くー!昨日から何にも食ってないんだって……」

「わかったってば!」


会話を聞いてると、2人が親子のように見えておかしかった。


さっきの『子供みたいなの』と言った、麻衣の言葉の意味がわかった気がした。
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