夏色の恋【完】
北斗の顔を見るなり、

「お前、それどうしたんだよ?」


と、海くんが額を指差した。


「あ?あぁ…、お姉さんに襲われた…」


北斗の言葉に驚いた海くんは、私と北斗の顔を交互に見た。


「えぇ!?マジ?マジで!?」

「ち、違うって…」


否定する私の言うことなんて聞いていないようで、海くんは「マジで!?」を連発した。


そして、


「里緒菜さん…、なんで北斗なんスか……」


“襲われた”をどういう意味にとったのか、海くんはがっかりした顔で私を見る。


「違うって!!ぶつかっただけだから!」


変に思われてるんじゃないかと思い、声が大きくなってしまった。


そんな私を見て北斗は、


「ムキになって言わなくても……」


呆れたようにそう言うと、


「やっぱ、お姉さんおもしれぇ」


と笑った。
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