夏色の恋【完】
昨日行ったファミレスに、今日は北斗と向かい合って座った。


「海くんは?」

「あー…、遊び…?」


質問に質問で返すってどうなの?なんて思いながらも、言うのも面倒で私は黙ってメニューを開いた。



そして和風ハンバーグを注文した私に、


「ハンバーグ好きなの?」


と、北斗はからかうように聞いてきたので、


「そう」


とだけ答えた。



何も話すことがなくて、2人で黙々とご飯を食べた。



途中でお腹がいっぱいになって、北斗が食べ終わるまで私は窓の外を見ていた。



「あのさ……」

「ねぇ、不良って楽しいの?」

何か言いかけた北斗の言葉を遮って、先に問いかけた。


「は?」

「答えて」


私は北斗の方を見ず、外を見ながら言った。



『楽しいの?』



北斗に初めて会った日、ここで言われた言葉。


何故か気になっていた。


また言われるんじゃないかと、私は先に質問した。


「何が?」

「だから……」


もう一度言おうと口を開くと北斗は笑い出して、


「“不良”って……」


と呟く。


「あんたねぇ!何がおかしいの!?」

「だって“不良”ってさ……」


北斗に目を移すと「なんだよそれ…」と笑い続けていた。
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