夏色の恋【完】
素直にそう言うと、


「行かねぇ…」


北斗は呟いた。


「でも……」

「てか、オレ暴走族じゃねぇし」

「そうなの?」

「嘘ついてどうすんだよ」


てっきりそうだと思い込んでいた私に、


「海はそうだけど」


と、教えてくれた。


「誘われてたまに参加するけど……。まぁ、ヒマな時とか?」

「ふーん」

「今日は…、おもしれぇお姉さんいるし……」

「さ……」


『寂しいの?』って言いかけたけど、やめた。


昔の自分を思い出した。


寂しくて誰かといたかったあの頃……。




「なんだよ?言いかけてやめんなよ」


口を閉じた私に、北斗は不機嫌そうに言った。


「あんたって変な子ね」

「はぁ!?」


そう言った私にまた不機嫌になる。


「お姉さんさぁ…」

「だから名前、里緒菜だって」

「てめぇも今、あんたっつっただろうが」

「そうだっけ?」



北斗との時間が、少し楽しくなっていた。



笑ったり怒ったり、不機嫌になったり、素直に言いたいことを言う北斗を見てると楽しい。
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