夏色の恋【完】
「で、どこ行くの?」

「知らねぇ」

「はぁ?女の子とデートする時どこ行くの?」

「そんなことしたことねぇ」

「ホント変な子…」



何も決まらないまま駅に着いて、2人でどこに行こうか悩んでいた。


「私、この辺りに何あるか知らないし…」

「オレも知らねぇよ」

「はぁ?あんた地元でしょ!?」

「地元でも知らねぇんだよ!」


そうやって言い合いしていると駅員さんに声を掛けられて、1つ先の駅を下りてすぐに映画館があると教えてもらった。


そして、


「あんまり姉弟喧嘩しちゃダメだよ」


と笑顔で言われた。



「姉弟に見えるんだね……」


そうやって呟く私に、


「そりゃそうだろ」


と、北斗は笑った。
< 40 / 134 >

この作品をシェア

pagetop