夏色の恋【完】
そう……。


私は泣いたりしない。



感情のままに泣いたりできる子を、羨ましく思っている。


私にだって泣きたい時もある。



でも、いつだって泣けない。


泣いたら何かが壊れそうな気がして、自分を保てなくなる気がして泣けない。



強がりで素直じゃない私…。



「顔はかわいいのにな。素直じゃねぇけど」

「あんたに言われたくない」

「は!?かわいいって言われたら、普通ありがとうっつうんだろうが」

「言われ慣れてる」

「かわいくねぇ…」


呆れたように北斗が呟いた。
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