夏色の恋【完】
そして、プリクラの機械の前まで強引に連れて行った。



「キライなんだよ、写真」

「写真じゃない。プリクラ」

「一緒だろ!」

「いいじゃん!」

「ヤダっつってんだろ?」



北斗の腕を掴んだまま、私はしつこく言ってみた。



けど、今朝の手を繋ぐ時みたいに簡単に折れてはくれなかった。



「少しくらいいいじゃん」

「あ?写真に少しも何もねぇだろ。ヤなもんはヤなんだよ」


北斗は自分の腕から私の手を振り払った。


「なんか…、子供みたい」

「何!?」


そう言うと睨むように私を見る。


「ヤダヤダって、子供みたいなんだもん」


私の言葉に、少し悔しそうな顔をして舌打ちすると、


「撮りゃいいんだろ」


と、プリクラの機械の中に入った。


「変な子…」

「あ?いいから早くしろよ!」


北斗がイライラしながら言うので、私はお金を入れて適当にボタンを押した。
< 44 / 134 >

この作品をシェア

pagetop