夏色の恋【完】
そうだ…。

優しく接してあげなきゃ……。



「ほ、北斗くんはさぁ…」


変に緊張して声が裏返った。


口を開いたものの、何を喋っていいのか、どう優しくすればいいのかわからなくて、言葉が続かなかった。


「何、いきなり?気持ち悪ぃ…」


北斗は私が言った『北斗くん』に反応して一瞬手が止まったけど、また黙ってカレーを食べていた。


「あんたねぇ!人がせっかく…」

「せっかく、何だよ?」

「ちょっと優しくしてあげようと…」

「喋るなら普通に喋りゃいいだろ」


北斗に言われて、


「そうだよね…」


と小さく呟いた。



気なんて遣って喋ってほしくないよね…。


気持ちをわかってあげようとしたことが、裏目に出てしまったんだと思った。
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