夏色の恋【完】
「髪、伸ばしてんの?」

気にして俯いた私を見て、北斗が口を開いた。


「え?あ、これ?うん…」

「なんで?貞子になりたくて?」

「は!?なんで貞子なの?これは、長谷川さんが…、似合うねって…、言って…」


言っている途中で、声が小さくなってしまった。


「彼氏、長谷川っつうんだ?」


北斗は意地悪そうな顔をして笑った。


「あ、あんたには関係ないでしょ?」

「まぁな」


そう言うとスプーンを置いた。


「長谷川とデートしなくていいの?」

「呼び捨てにしないでくれる!?」

「オレとデートしたのに、なんか長谷川に悪くねぇ?」


北斗はニヤリと笑って言う。


「そんなの、あんたには関係ないんだからほっといて!」

「電話して、デートしようって言えばいいじゃん」

「だから、ほっといてよ!」

「手、繋いで歩いたり、プリクラ撮ったりしたいんじゃねぇの?」

「もう!!だから!」



私は北斗の言葉にムキになった。
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