夏色の恋【完】
「何?長谷川から?」


携帯を閉じた私を見て、北斗が言った。


「だったら何?」

「いや、別に」

「じゃあ、ほっといてよ」

「なんか、あんたらの会話って…」


“うん”


“大丈夫”


“ありがとう”


“ごめんね”


「…って、変なの」


北斗は言った。


「そうね、そうかもね」

「て、言うかさ…」

「何!?まだ何かあんの?」


私はやっぱりイライラして、北斗を睨んだ。


「なんであんな喋り方するわけ?」

「は!?」

「なんつうか…。気、遣ってるみたいな」

「別に気なんて!遣ってないし…」


なんで北斗にこんなこと言われるんだろうか。


いや、なんで言われなくちゃいけないんだろうか。


なんで私の心にズケズケと踏み込んでくるんだろうか…。
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