夏色の恋【完】

昔の彼氏

麻衣は相変わらず仕事に忙しくて、海くんも“遊び”に忙しいらしく、夜はいつも北斗と2人。


ファミレスに行ったり、家で麻衣の作ったご飯を食べたり、そんな日々だった。



今日は、近くで花火大会があると、今朝麻衣に聞いて『人混みはイヤ』だと渋る北斗を、無理やり連れ出した。




「だから、派手だっつうの」


真っ赤なワンピースを着ている私を見て、北斗は呆れた顔をする。


「浴衣、持ってきてないし…」


こんなことなら用意しておけばよかった、と心の底から思った。


「浴衣着たかった…」


がっかりと肩を落としてため息をついていると、北斗が私の手を握って歩き出した。


そんな北斗をかわいく思った。



2人で手を繋いで歩いていると、海くんに出会った。


「北斗がこんなとこ来るなんて珍しいじゃん」


海くんを見て、慌てて手を離そうとした私に、


「迷子になるぞ」


と北斗が言って、離してくれなかった。
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