夏色の恋【完】
しばらく3人で立ち話をしていると、男の人が近づいて来て、


「よう!久しぶりだな」


笑顔で北斗に声を掛けた。


「功希さん、お久しぶりです」

「お前、最近見ねぇと思ったら…」


言いながら、北斗の横にいる私に目を移した。


「いい女、連れてんじゃん」


北斗の先輩らしいその人は、私を見てニヤッと笑う。


「こんばんは」


あんまり好きなタイプの人じゃないな、なんて思いながら、一応挨拶しておいた。


「北斗、そろそろチーム入ってやれよ」

「たまにでいいですよ」

「海も寂しいよなぁ」

「そうっスよ」



そんな会話を黙って聞いている私を、チラッと北斗は見て、


「オレら、そろそろ行きますんで…」


と功希という人に、軽く頭を下げた。


「おぉ!またな」


2人と別れて、私達は人混みの中を歩いた。


途中でたこ焼きを食べたり、金魚すくいをしたりして、手を繋ぐのを忘れていた。


打ち上がる花火に見とれて、気づくと北斗とはぐれてしまっていた。
< 76 / 134 >

この作品をシェア

pagetop