夏色の恋【完】
電話しようとカバンから携帯を出したけど、メモリーには北斗の名前はなかった。


なんで聞いておかなかったんだろう、とため息をついた。


しかたなく、少し端に寄って辺りを見渡したけど、北斗の姿はない。


キョロキョロしながら北斗を探していると、


「あれ?愛じゃねぇ?」

と、突然後ろから声がした。



今では誰も呼ばない私の名前……。



驚いて声のした方を振り返った。


「やっぱ、愛じゃん」


そこには、地元の昔の彼氏。


真也…。


一番、会いたくなかった人。


「久しぶりだな」

「………」



私は黙ることしかできなかった。
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