夏色の恋【完】
そんな私を見て、周りからは『男好き』だと言われたけれど、どうでもよかった。


1人になるくらいなら、そんなことどうでもいいと思っていた。


でも、ふとした時に、本当に自分を想ってくれていない、体だけの関係が余計に寂しく感じてしまった。


このままじゃいけないんじゃないかと、私は地元を離れた。



もうあの頃の私を思い出したくなかったのに……。



下を向いて黙り込んだままの私に、


「久しぶりに1回ヤるか?」


真也が私の肩を抱いた。


私は固まって声も出なかった。



会いたくなかった…。


思い出したくなかった…。



「そういう女だもんなぁ」


真也はそう言うと、俯いたままの私の肩を抱いたまま、


「行こうぜ」


と歩き出した。
< 79 / 134 >

この作品をシェア

pagetop