夏色の恋【完】
「あ、北斗だ」


入口を見て呟いた海くんが、「こっち、こっち」と手を振る。


「何やってんだよ」


近づいて来た男の子は不機嫌そうな顔で海くんに言った。


「ご飯」

「はぁ!?なんでいきなり女と飯食ってんだよ」

「まだ食ってない。あと…、女じゃなくて姉ちゃん」

「姉ちゃん!?」


そう言って男の子は私を見た。


金と茶色が混ざった髪の毛に、フワフワとした軽いパーマをかけている。


やんちゃそうだけど、かわいい顔をした男の子。


「おい!姉ちゃんこっち」


海くんは自分の隣の麻衣を指差した。


「おぉ!麻衣ちゃんじゃん!こんな時間に珍しくね?キャバ嬢辞めたの?」

「辞めてないよ。今日は休み」

「そっか…。あ、そこいい?」


彼はそう言うと、私の隣に座った。
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