夏色の恋【完】
耐えれなくて泣きそうになったその時、


「里緒菜!!」


私を呼ぶ声が聞こえて顔を上げると、少し先に北斗がいた。



北斗は走って来て目の前に立つと、


「手、離してもらえます?」


真也を見て言った。


「おぉ、北斗。久しぶりだなぁ」


顔見知りだったらしく、真也は私の肩を抱いたまま喋りだした。


「今日は功希たちと一緒じゃないのか?」

「真也さん…」


北斗は、そんな質問に答えずに真也の名前を口にすると、


「そいつ、オレの女なんスよ」


と、強い口調で言った。


「は?何?お前ら知り合…」

「愛!」


真也の言葉を遮って、北斗が私の名前を呼ぶ。


今度は“里緒菜”じゃなくて、本当の名前。


「こっち来い」


北斗が私の前に手を出した。
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