夏色の恋【完】
ずっと泣きそうになっていた私は、真也を振りほどいて北斗の元へ行き、手を握った。


「何?お前、年下にまで手、出してんの?」


真也は鼻で笑うと、


「男好きだもんな」


ニヤニヤた表情で、そう付け足した。


また泣きそうになって、私は北斗の手を強く握って俯いた。


すると北斗は私の手を離して、その手で私の肩を抱くと、


「オレが手、出したんですよ」


と笑った。


驚いて北斗を見ると、その目は真っすぐに真也を見ていた。


「は?」

「そういうことなんで、ナンパなら違う女にしてください」


北斗はそう言うと、


「失礼します」


と少し頭を下げて、私の肩を抱いたまま歩き出した。
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