夏色の恋【完】
そんなことを考えながら北斗に目をやると、変わらず前を向いてテレビを見ている。



「お前さ…」

「な、何!?」


北斗があまりに突然喋り出したので、ビックリして声が裏返った。


「お前って言うのやめてよね!偉そうに…」


それをごまかす為に、私は少し早口でそう言った。


「じゃあ、何て呼べばいいわけ?」


北斗が私を見て言った。


「え?だ、だから…」

「いつまで“里緒菜”でいんの?」


私の言葉を遮るように、北斗が言った。


「え…?」


どういう意味なのか、答える言葉が見つからない。


「ま、いいけど別に…」

私が黙っていると、そう言ってまたテレビに目を向ける。


そんな北斗の態度に、なんだか腹が立って、


「聞いておいて何よ!」


少し声が大きくなった。


そんな私を、北斗は驚いてたように見たけど、またいつもの不機嫌そうな顔になって、


「じゃあ、答えんの?」


じっと私を見て言った。
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