夏色の恋【完】
「なんで、あんたはいつもそんなことばっかり言うのよ!」

「あ?それって誰と比べてるわけ?」

「誰って、別に比べてなんか…」


言葉に詰まった。


そんなつもりなんてなかった……。



「長谷川?」

「ち、違っ」

「違わねぇだろ!!」


北斗は怒鳴ったようにそう言うと、


「長谷川は優しいかもしんねぇけど、オレはこんなんなんだよ」


そう続けた。



いつもの冗談っぽい言い方じゃなく、怒っているような北斗。


「だいたい、長谷川にしろ、さっきの真也さんのことだって…」

「なんで?」

「は!?」

「なんで、そんなこと言うの?」


そう言った途端に涙が出てきて、私は泣いてしまった。



泣かないって決めてたのに……。


もうずっと、泣いたことなんてなかったのに……。
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