夕暮れ
昇は
ギュッときつく俺の手を持った


目に涙が溜まってる



「わかんないよ。猛」

涙が落ちてくる

一粒、また一粒…


俺のホッペや
首や
腕や
服の上に

ポタポタと

昇の涙が落ちてくる


「自分でも、猛に抱いてる気持ちどうしたらいいのかわからない。」

涙と一緒に
昇の言葉も落ちてくる

そして
何よりも純粋な
昇の気持ちも。



「ゴメン。拒むことも受け入れることも今は出来ない。」

俺も正直に答えた。



失いたくない存在だということは確かだった。




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