夕暮れ
俺が猛の上から離れて降りようとすると
何かに引っ張られる感じがした


手元を見ると
猛が袖を持っていた



「どうした?」

冷静を装って言った
心臓が強く鼓動する。

「苦しい…」


猛は声を絞り出すように言ったもんだから
マジでどこか苦しいのかと焦った。



「どこが苦しい?」

猛が落ち着くように
微笑んで言った。



「昇…先輩のこと…好きなのか?」


「ああ。好きだよ。」


「俺たち…だんだん距離が開いていくのか?」


「それはないよ…」

今さら
何でこんなこというのか
理解出来なかった。


「昇…俺…嫌なんだ。昇には幸せになって欲しいけど、俺から昇が離れていくのが…」



「何でそう思う?」


「昇は一人しかみれない。器用じゃないから。」

よく知ってるな。

その通りだよ。





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