夕暮れ
昇は飲み物を買って来ると部屋を出た。


俺は、陽菜をジッと見つめた。

「ごめん…あたし猛のこと…」

聞きたくない
聞きたくない
聞きたくないんだよ

俺は陽菜を抱き締めた。

「なぜ俺を好きって言ったんだよ」
「ごめんね。猛」

「なぜ俺に身体を何度も許したんだ」
「ごめんね。猛」

「なぜ一番最初にあったことを言わないんだ」
「いいの。だってあたし猛のことたくさん利用したもの」


陽菜。
俺…
お前をあきらめられない。



そう言いたかったけど


言えなかった。


< 23 / 238 >

この作品をシェア

pagetop