夕暮れ
身体は動かさず
今の状況を把握するためだけに目を開ける。



昇は起きていた。


そして
ねている陽菜を

軽蔑でもない

憎悪でもない

ましてや愛情でもない

とても怖い目付きでみていた。



おれは、背筋がゾクッとした。



昇は俺の視線に気が付くと近くに寄ってきた。


「おはょう」

そういいながら

おれに唇を重ねる。



「やめろよ」
「なんで?昨日たくさんしただろ?猛」





「…そんな趣味ねぇよ」

俺が言うと少し激しく舌を絡める。



「趣味ってなんだよ」

「男が好きって趣味は無いって言ったんだょ」

「…俺も無いって…そんな趣味」


昇は、そういいながら笑っていた。


その笑顔
いつもの昇だ。



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