夕暮れ
「どっちにしろ、元には戻れないな」

「猛。それは俺も同じ」

そう言ったあと


昇は、少し黙って


再び口を開く。



「俺、陽菜のこともう好きじゃ無いんだ」

聞き間違わないだろう。
昇は、はっきりゆっくり言った。


「昇、俺と陽菜のことは、俺が悪いんだょ」


「違う。好きな人が他にいるんだ。」



「え?」



「お前と陽菜のこと知った時はショックだった」


昇は、そう一言言った。


その言葉に
どれだけの意味が
含まれているかなんて


そのとき

俺は気が付くわけもなかった
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