僕のお姉ちゃん
あまりに無駄なことを考えていて、あまりに俺は、


姉貴の腕の中で無防備だった。



突き放すことも忘れていて、ハッとした時には


「我慢、できない」


忘れることのできない言葉が頭上から降ってきて、首筋に唇を埋められていた。





なんだかもう、突き放すことが無駄に感じられた。


すっかり日は暮れた。


玄関先の暗闇に、姉貴の発する音だけが異様に響いていた。



「ねぇ、悠」


姉貴の撫でる様な声に、初めてあの日と同じような危険を感じた。


何かが弾け、跳ねたように俺は姉貴を突き飛ばした。

姉貴の小さな悲鳴が聞こえた。





ただ、部屋に逃げた。
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