僕のお姉ちゃん
第一、姉貴のことは姉貴としか見れない。


……どうして姉貴は、俺のことなんか好きになったのだろうか。



一度だけ、姉貴が彼氏を家に連れてきたことがあったけど……

芸能界に入れるんじゃないかっていうくらいかっこよかったのを今でも覚えてる。


俺より大人っぽくて、かっこいい奴なんかいっぱい姉貴の周りにいただろうに、どうして姉貴はよりにもよって俺を……



「悠?」

「えっ、あ、何?」

「飲み物、何がいい?」

「……適当に、決めていいよ」

「そっか、じゃぁ、ジンジャーエールで」



……22にもなって、弟襲おうとするなんてどうかしてる。

早いけど、結婚してもおかしくない年齢なのに。

姉貴くらいのルックスなら、男なんかいまだにごろごろいるはずなのに。



こんなこと言って、結局姉貴に家を出てほしいだけなんだ。



今すぐこの場を離れたいくらい、姉貴の隣は居づらい。

こんなに接近したくない。


親の前だから、そんな素振りは絶対見せられないけど……。



結局俺だって、姉貴と同じように仮面をかぶってるんだ。





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