僕のお姉ちゃん
それが


完全な崩壊という名の扉の

ノブだとも知らずに。










「お待たせ。あら、先に食べていて良かったのに」

「いいのよ。……さ、食べましょ」


姉貴の仮面は、綺麗に姉貴の本性を隠している。


俺の仮面も……

やはり俺の過去を、姉貴との秘密を、綺麗に隠している。





あのタイミングで、喋ってしまえばよかったのだ。


姉貴の仮面を、べりべりとはがしてしまえばよかったのだ。


どうしてできなかったのだろう。



……姉貴のいうとおり、俺は、俺は……。
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