僕のお姉ちゃん
気付けば


「ちょっと……悠!」



遥か遠くから姉貴の声が聞こえて


俺は、桜野と風を切っていた。



「桜野……」

「悠、大丈夫? なんか、わかんないけど……とにかく、学校に!」

「……あぁ……」



目の前が霞む。

全身の力が抜ける。

やっぱり今日の俺は、おかしかったんだ。

もっと早く気づけば、姉貴に路地裏で無理矢理キスされることも、桜野にバレることもなかったかもしれない。



「ごめん、桜野……」

「え?」

「俺……」



今日、休むわ。



声にならなかったその言葉は、桜野の俺を呼ぶ声と一緒に、頭の中に響いた。




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