僕のお姉ちゃん
発熱と告白
せまってくる、手。


「悠、我慢できないよ」


忘れることのできない、あの言葉。



こんな夢は、何回も見たけれど……


相手が桜野だったことは、なかった。





「っ……さく、らの……」

「悠? 私なら、ここだよ」


夢とは違う優しい言葉と、手に感じたぬくもりに、ハッとして目を開いた。


「あ、起きた! 大丈夫?」

「ここ、は……?」

「私の部屋。悠、おぶって運んできたんだ」


いきなり倒れちゃったからさ。


そういって、桜野は笑う。

俺、助けられてばかりだな……。



「ごめん、重かっただろ?」

「ううん、そんなに重くなかった。ま、私が力持ちってのもあるけど。あ、熱凄かった
よ! もう平気?」

「うーん……ちょっとぼーっとするけど、平気」

「そう。よかった!」



桜野、さっきから姉貴のこと、触れないでくれてる。

やっぱり……助けられてばっかりだ。
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