僕のお姉ちゃん
「ごめんなさい……っ」



姉貴は、それだけぽつりといった。

悲痛に満ちた顔で。

後悔に満ちた顔で。

涙でぬれた顔で。


春を見つめながら。



「あなたまで、傷つけるなんて。私、本当に最低だわ……。悠のことだって、全部全部、もっと私がしっかりしていれば、自分に厳しくあればっ……。もう、遅いけれど……」



姉貴は嗚咽の混じった声で、謝り続けた。


そっと、俺の袖から春の手が離れた。



その手で、春が姉貴の手を握った。



「えっ……」

「遅くなんか、ないです。きっと。そりゃ、私だってまだ許したわけじゃない。けどっ……まだ、やりなおせると、思います」



春は、強いな。



そう思った。



姉貴は春の手を握り返して、その場に座り込んだ。

涙は止まらずに、姉貴の頬を滴り続けた。
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