僕のお姉ちゃん
「悠ってば」

「春……あのさ」

「なに? 早く持っていかないと……」



「今度、俺と姉貴に会いに行かない?」



俺の声は、震えていたと思う。

春にとって、姉貴はあまり思い出したくない人だろうし……


せっかく、立ち直ったのに


そう、責められそうで。

春が傷ついてしまいそうで。



思わず、うつむいてしまった。



「……悠」



ふわりと、俺の手を、やわらかい春の手が包んだ。



「私、そこまで弱くないよ。もう3年もたってるし。いいよ、会いに行こう。私も会いたいし……それに」

「それ、に?」

「仲良くなれる気がするんだよね。同じ人を好きになったもの同士、さ」



さ、運ぼう



春は、強く凛として

……その笑顔は、俺には痛いくらいにまぶしかった。
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