僕のお姉ちゃん
「いってきます」

「行ってらっしゃい、気をつけてね」



朝、通学路を通るたびに姉貴を思い出す。


「あの日までは、一緒に登校がお決まりだったのに……」



あの日から、何もかも変わったんだ。










どうして、どうして、どうして……


怖い、怖い、怖い、怖い……っ!!


僕は声も出せないで、ただわけも分からず泣くだけで、


お姉ちゃんのするがままに、動かされてた。



「ゆうが、弟じゃなければ良かった」


その一言が、僕の耳にはっきり届いた。



お姉ちゃんは、僕のことを、好きになってしまったのかな……


そんなことが、頭の中を埋め尽くして


また涙がこぼれた。





「悠!!」

「わっ!?」


心臓が止まりそうになって、慌てて思考を停止した。


「……桜野」

「名前で呼べって言ってるじゃん、春って呼びなさいよ!」
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