僕のお姉ちゃん
少しの妙な沈黙の後、春があっ、とつぶやいた。



「あの……」

「はい?」

「今どこにいるか知りませんか?」



春の問いに、受付の人はうーんと天を仰ぐと、ちょっと待って下さい、と奥に行ってしまった。


残された俺と春は、もう一度顔を見合わせて、小さくため息をついた。



「出所してたって、どういうこと?」

「わからない……俺も知らなかったんだよ。親だって何も……あ」

「ん?」


自分の言葉で思いついた。


「父さん達なら、知ってるかも」



俺は春にそう言って、外に出た。
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