僕のお姉ちゃん
すり抜けさせてはならない
「春、行こうか」
「うん。行こ、悠」
手をどちらからともなく握り合って、春の家を出た。
無意識に、早足になる。
手がかりは皆無だけれど。
・・・・・・とにかく、早く姉貴を見つけたかった。
ひらりと、一枚の桜の花びらが揺れながら落ちてゆく。
姉貴みたいだと、感じた。
切なく、儚く。
逃げ惑うように、ひらひらと。