【完】アップルパイ。~先生ト不良少女ノ恋~
「どうしてそう思うの?」
先生の母さんが不思議そうな顔で聞いた
「あの…あたしの事は聞いてますか?」
「聞いてるわよ。不良だったんでしょ?」
やっぱり聞いてたか…
「でも今は辞めたんでしょ?ならいいじゃない。過去は戻せないものよ。誰にだって消したい過去はあるわ。それに私達は嬉しかったわよ」
「嬉しかった?」
どういう事なのか全然分からなかった
「えぇ。拓海もね、1時期荒れた事があったのよ」
「荒れたっていうのは…不良になったって事ですか?」
「そうね。原因は私達にあるのだろうけど…。あの子、私達に何も相談しないで大学いって、教師になったのよ。元々自分から何がしたいとか欲しいとか言う子じゃなかったんだけどね」
「そうだったんですか…」
そうか、先生にも思春期があるよね
「だからね、あなたと結婚するって言ってくれた時は本当に嬉しかったの。あの子も恋をしたんだなって」
「そうですか…」
「あの子、すごく不器用な子だけどよろしくね」
「はい…」
「それで話っていうのは?」
「あ…!」
そうだ今日はこの事を話しに来たんじゃない
もっと。
もっと大事なこと。
「今日は…拓海さんの事で大事な話をしにきました」