俺様彼氏


「あの。」



私の声に二人ははっとしたが、優雅くんが振り向き、私にこういった



「かえれ」


ぇ?


「家に帰りたくないとかどうせ嘘だろ。本当は俺に会いたかったんだろ」



は?

こいつ…ばか?
ぶりっこの男版…ですか?


「は?言っとくけど、私今日初めてあんたのことしったから。」



でも、実は怖かった。

思い出したから…。





――――――――――――――――



「お母さん!やめてっ」


「あんたの…あんたのせいよっ!!」


当時十歳の時。

私は望まれて生まれた子ではなかった。

ただ、お母さんが遊びの相手の子供を運悪く生んじゃっただけ…。


この時、お母さんは好きな人をたくさんつくった。

だけど…。


「子持ちならいらね」


いつもこの言葉でお母さんはふられていった。


この時は一人っ子だった。


何年かして、今のお父さんと再婚。

私にはお兄ちゃん、弟ができた。


だから…、今のお父さんもお兄ちゃんも弟も実のではない。


…今のお母さんは前のようなことはなくなった。


でも…。毎日怖いんだ。前のお母さんに戻ってしまうんじゃないかって…。





「かえれ」


この言葉はお母さんによく言われた。





「そうだよね…。」


私はあの時の気持ちをしってる。


もしかしたら、優雅くんも同じ気持ちなのかもしれない。
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