俺様彼氏
「いこっ」
「うんっ」
私たちはまた走り出した。
「みー…」
どんっ
人ごみを走っていると、誰かとぶつかり、私はすことすっ飛んでしまった。
…いたた…。
…誰よ…?
「いったい…。」
「ちっ…いってぇなぁ。」
少し前からすごく不機嫌な声が聞こえ、顔を上げた。
「ちょっと!新様になにするのよ!!」
「そうよ!慰謝料はらいなさいっ」
何故か周りが騒がしい。
心優と優奈を見上げると、顔が真っ青になっていた。
もう一度ぶつかった人をみると、その人は立ち上がった。
「おめぇ、責任とれよ。」
「へ?」
ぶつかった人は、180センチぐらいの高い身長に、整った顔。
そして、人ごみはみんな女だった。
「おい。そこの女。お前、名前なんていう?」
「ぇ…。栗沢奈美です…。」
遠慮がちにいうと、そいつはにやっと笑った。
「ふぅーん。ま、覚悟しとけよ。」
そいつはそう言って、去っていった。