六等星の一生
 一等星はしばらくの沈黙の後、優しく囁きました。
「あなたは私になれません。私もあなたになれません。誰も誰かの代わりにはなれません。一つ一つ、違う姿と光をもらってここにいるのですから。それぞれの生まれて死ぬまでを、精一杯生きるだけの一生に、誰のがより優れているなどありましょうか」
「私は…私は…」
 六等星は言葉が出てきませんでした。
 これまで自分が一等星に感じていた妬ましさが、今はただ愚かしいのです。
 いつか太陽の神様に言われた事は全て本当の事でした。
 ただそれをあの時、自分ではない姿を探すのに躍起になっていた自分は、どうしても認めることが出来なかったのです。
 声もなく、涙は流れました。泣きながら六等星は言いました。
「私は愚かでした。自分を認めず、信じず、見つめる事もなく、ただ周りに自分の姿を認めさせたいばかりに、より大きな光を求め続けてきました。ですがそれらは全て間違いでした」
 六等星の告白を、一等星は押し黙って聞いていました。
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