六等星の一生
「どうかそれでもお願いします。私はこのまま名も無き星としていつか流れ落ちて行くのは我慢がなりません。どのような試練でも受けます。きっと天の役目を果たして見せます。どうか、どうか私を一等星のように強く大きな星にしてくださいませ」
「己の身の程もわきまえず、何を言うのか。名もない己がそんなにも呪わしいか。お前が欲しているのは名、名声であろう。己が姿を見せつけんが為の名よ。そのような者の願いなど認められぬ。早々に立ち去るがよい」
「それでも、私は」
「ええい、失せるがいい! もとよりお前はこの空から追放してくれる! 神の定めた姿に逆らってまで己が願いが大事と言うなら、どこへなりとも行って、そこで叶えるが良かろう!」
 太陽の怒りに、六等星は逃げるようにしてその場を去りました。



 逃げる内に、六等星は神様の言い分にだんだん悔しいような腹立たしいような気持ちになりました。
 この空で私が輝けないのは、あのような神が支配しているからだとさえ思うようになりました。 そしてもしかすればきっと、この世界のどこかには、自分が本当に願いをすっかり叶えられる、そんな場所があるはずとさえ思うようになったのでした。
< 6 / 12 >

この作品をシェア

pagetop