ノースマイル
「おはよう」

「おはようございます」

翌朝、偶然にもアパート前で出くわした。

いつも通り、無表情な雪を見てこっそり溜息。



漫画の読み過ぎ、だよなあ……


昨夜はそんなことを思って自嘲した。


雪には男がいて、そいつの前では普通に笑う。

単に特別な男の前でしか笑わないだけだった。


それを俺は。
変えてやれるのは俺。
笑えばいい、と言ってやるのは俺の役目だ、なんて思ってさ。

……アニメの影響受けすぎだろうよ。



真っ黒な地面を見つめて、俺はもう一度溜息をついた。
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