ノースマイル
そこにはいつも白い顔を更に白くした彼女がしゃがみ込んでいた。
大きく肩を上下させて、明らかに様子がおかしい。
「どうしたの?」
俺に気付くとゆっくり顔をあげた。
いつもしっかりと見開かれている目は細められ、涙をためている。
そして息が荒い。
「大丈夫?」
俺は膝をついて彼女の背に手を乗せ、焦点の定まらないその目を覗き込んだ。
「ひんけつです……」
彼女がそう言うのとほぼ同時にレジから「すみませーん」と客の声が聞こえた。
俺は彼女の両肩を掴んでゆっくりと横にした。
「このまま横になってて。すぐ戻るから」