でも、悲しい


あたしはいつもアイツの一番近くにいた。
それは間違いなかったし、それが当たり前でもあった。
それこそ、呼吸をするくらいに自然なことだった。
そして、アイツの横で口笛を吹いているのも同じくらいに自然なことだった。


だから、気づいてないわけがなかった。


チャラチャラしてるわけでもないアイツの薬指にはきっとお揃いであろうシンプルなリングがはまっていることにも。
みんなで笑ってる昼休みにいつの間にかいなくなってかわいい彼女に電話をかけてることにも。


全部全部


気づいてないわけがなかった。


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