【短編】お願い、ヴァンパイア様
　酷い朝だった。

目の下に大きなクマが出来ていて、昨日かったばかりの薔薇はしおれてしまっていた。



　わたしは、夢を見ていたのかもしれない。

そんな気持ちは、鏡に映る首筋が否定する。


　くっきりと鋭いものが刺さった跡がなによりの証拠。


　だからといって、わたしが遅い朝を迎えたときにはあの男……レンはいなかった。



　一体なんだったんだろう。


そんな疑問がまとわりつく。



母親からは「あんた誰かと殴り合いでもしたの？」なんて驚かれるほどわたしの顔は蒼白で、父からも「無理して学校行かなくても…」といわれてしまった。


だけど、確認したいこともあったし、両親の制止も振り切って登校した。



　まだ酸欠ではあるけど、朝食はしっかり牛乳を３杯飲んだし、ビタミン剤や鉄分などのサプリメントもしっかりお腹に入れてきた。


　どうにかなる！

と、気合だけのわたしは早速よろけながらも、足をもつれさせながら教室へと向かっていた。




　案の定、教室の扉を開くと百合と愛美がビックリしていた。


「椎名、どうしたの!?」

　ヴァンパイアに血を吸われまして……なんていえるわけがなく。



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